Monex AI Seriesウェビナー開催レポート

August 4, 2025
CrewAIによって編集されました

〜生成AI導入のリアルと現場成果を聞く〜



2025年7月30日、Zoomにて「Monex AI Series」と題したウェビナーを開催しました。本セミナーでは、生成AI導入・推進の最前線に立つマネックス証券執行役員・経営企画部長の松岡純也氏とコインチェック常務執行役員CTOの松岡剛志氏が、実践事例や課題、効果についてリアルな現場の声を語りました。本ブログでは、当日の内容をダイジェストでお伝えします。

生成AI導入のスタート:トップダウン×ボトムアップ

マネックス証券では2023年7月から社内ガイドラインの整備と専門部署の設立により本格的なAI活用を開始。経営企画部長の松岡純也氏が旗振り役となり、業務効率化を推進しています。一方、コインチェックは2023年4月に利用方針を策定し、2024年4月から全社規模で本格展開。両社とも、経営陣のリーダーシップ(トップダウン)と、現場からの自発的な要望(ボトムアップ)をうまく掛け合わせてスタートしました。


社内での生成AI活用と成果

コインチェックでは、生成AIチャットツールの利用率が週次で55-60%です。開発においては、24年4月に配布したGitHub Copilotに加えて、今年4月にAIエディタのCursorを配布しました。業務効率化については、全社をグループ分けして研修・業務棚卸し・改善を順番に動かしています。すでに2部門でそれぞれ10時間/週/人の業務時間削減を実現。現在は他部門で研修と業務効率化の取り組みが進行中です。分析のSQL支援はまだ支援にとどまっており、データウェアハウスにおけるセマンティックレイヤーを整備することで精度の向上を目指している最中です。

マネックス証券でも、月次でのAI利用率が約60%。分析SQL自動生成支援により、問い合わせ対応が大幅に軽減し、社内アプリ開発のPoCも進行中です。

クラフターからは、中小企業や企業の規模、業種によって導入率に違いが生じる理由について説明しました。

普及のための工夫と苦労

AIを社内に根付かせるため、両社は独自のアプローチを実施しています。マネックス証券は、経営陣による方針表明や評価制度へのAI活用組み込み、月次でのAI推進メッセージ発信、ガイドラインの緩和、各部門へのAI担当配置など「使いたくなる仕組み」作りを徹底。さらに、米国グループ会社TradeStationのCTOとの集中会議を通じてKPI/OKRの設定などの目標を設けています。
コインチェックは、AIの社内普及に向けて、経営トップによる強いメッセージを繰り返し発信しています。経営会議資料や申請フローにもAI活用を組み込み、自然に使う仕組みを構築。ガイドラインの見直しや研修の実施で利用ハードルも下げています。一方で、AIにとって扱いやすい情報形式の整備や社内統制の在り方は今後の課題だとしています。AIは会社のOSであり、生産性を飛躍的に高める鍵と捉えています。

導入による具体的な効果

コインチェックにおいて効果測定できているものを挙げると、2025年6月には本番に取り込まれたコード数が前月比30%増加、レビュー時間が9%削減、技術的負債の改善が加速したことも確認できています。また、研修効果としては、部門Aで月8時間、部門Bで月13時間の削減効果が出ています。

マネックス証券では、部門最適から全社最適へと業務改善の広がりが生まれ、レガシーツールの刷新や不要業務の見直し、部門間連携の強化が進んでいます。

クラフターは、法人担当者がROIを出す前にたどる導入のステップを紹介しました。


今後の展望と課題

コインチェック松岡氏は、AIは規定や法令、ガイドラインのフィットギャップ分析に非常に強く、これらのソースを軽量なマークダウン形式で管理し、AIエディタと接続して活用できる環境を目指したい。AIが主役となる組織づくりこそが、真のイノベーションにつながるとしたうえで、「よく”猫は人間を主人だとは思わず下僕だと思っている”と言いますが、これに喩えるなら、10年後には、人間が猫のポジション、AIが人間のポジションになるでしょう」との将来像を示しました。

マネックス証券は、最終的に顧客向けサービスへのAI組み込みを目指し、全社的なAI受け入れ体制の強化やコンプライアンス部門との連携、AI活用に適した組織構造のあり方の再検討、業務フローの見直しに取り組んでいます。

おわりに

今回のウェビナーでは、生成AI活用の「現場リアル」と「導入後の具体的効果」、そして今後のチャレンジまで、多くの実践的な知見が語られました。
生成AI導入を検討中の法人担当者の方は、両社の推進プロセスや課題解決の工夫をぜひ参考にしてみてください。

※イベントの詳細や次回開催情報は、公式ページをご覧ください。
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